ラニーニャ現象と給湯器
冬真っ只中ですね、毎日寒いです。ラニーニャ現象などの影響で日本付近は冬型の気圧配置が強まっているらしいですが一体なんのことやら。今回はそんな寒い日々の中で起きた出来事。
ラニーニャ現象というのは太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より低い状態が続く現象だそうです。日本のような中緯度地域だと偏西風によって風は西からというイメージがあるかと思いますが、赤道付近だと貿易風という東からの風が吹いているんですね。ラニーニャ現象によりこの東からの風が強くなるとインドネシア近海の海上に積乱雲が平常時より盛んに発生するようになります。太平洋赤道域の西部に暖かい海水が多く溜まり、東部では冷たい海水域が増すことによるものです。
インドネシア近海の海水温が高くなると偏西風がユーラシア大陸東部で北へ、日本付近で南へ蛇行しちゃうんですね。シベリア高気圧は南東へ張り出し、アリューシャン低気圧は西側で強まることによりそれらに挟まれる日本列島では冬型の気圧配置が強まりシベリアからの寒気が流れ込みやすくなります。
当該海域のことを「エルニーニョ監視海域」と呼ぶそうですが、エルニーニョはラニーニャとは逆で海面水温が平年より高い状態が続く現象ですね。というかどちらかというとこちらの現象の方がメジャーですかね。日本の天候に及ぼす影響もほぼ逆になります。この監視海域の海面水温基準値との差の5か月移動平均値が6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合を「エルニーニョ現象」、-0.5℃以下となった場合を「ラニーニャ現象」と定義しているんだとか。まあ人間も平熱36度が38度くらいになるとフラフラしちゃいますしね。監視海域はとても広いのでわずかな温度差でもものすごいエネルギーの増減があるんでしょう、きっと。
さて、そんなこんなで厳しい寒さが続く日本の冬。1月13~15日くらいに少し寒さが緩みはしましたが、その後最低気温が氷点下の日が続いてますね。これを書いてる前日2023年1月29日までの二本松の気温を調べてみると1月16~29日の14日間連続で最低気温が氷点下、1月21~29日の9日間は一日の平均気温がずっと氷点下でした。
気温が氷点下になると心配なのが住宅設備の水回り。道路状況とかも心配ですが不要不急の外出を控えればなんとか乗り切れそう。でも水が出なくなったら生きていけない・・・いや生きてはいけるでしょうがかなり不便な生活を強いられることになりますよね。
天気予報をみながら「何も起きないといいなあ」「去年も何も不具合なかったし」「大丈夫だよなあ」と思いを巡らせビクビク過ごしていたんですが、先週1月26日夕刻、我が家の給湯器のリモコンにエラーが表示されてお湯が出ないアクシデントが発生。「タンクの漏水検知器動作しています」って凍結かなんかで配管が破裂したか?恐れていたことがついに・・・。
まあ給湯器の不具合なんで水の方は出るんですが、この時期お湯が出ないってのも結構困りますよね。エラー解除方法を調べて実行すると一時的にお湯が出るようにはなるんですが、またすぐにエラーが表示されてお湯がストップ。家中のすべての水栓が閉まってることを確認してから水道メーターをチェックするとパイロットマークという銀色のひらひらしてるやつが動いていないのでどうやら漏水ではないみたい。インターネットで調べてみるとなんらかの原因で漏水検知器に水が入り込んでしまう場合もあるらしい。
極寒の屋外、懐中電灯を照らしながら貯湯ユニットのカバーを外してみる。インターネットで調べた漏水検知器らしきものが見当たらない。断熱カバーに覆われた配管がいくつか見えるだけ。その中に断熱カバーのないむき出しのホースが1本、エアコンのドレンホースと同様のものを発見。なぜ貯湯ユニットにドレンホースが必要なのか調べてみると、水温が上がると水の体積が大きくなりタンクから溢れた水を排出するためとのこと。
なんとも無防備なドレンホースは先端が他の配管に乗るような感じになっており、途中の先端より低い部分に水が溜まるようになっていました。これが防虫トラップの役割を果たしているかどうかはわかりませんが、溜まる水量からしてトラップとしての効果は薄そうですね。ドレンホースの陰辺りに漏水検知器があるかもしれないのでとりあえず動かしてみようとちょいと引っ張り出すとホース先端から水がジョロジョロと出てきました。でもなんだかトラップ部に溜まっているであろう水量よりも多い気がする。もしかしたらこれがエラー表示の原因?
さっそくエラーを解除してみたところ、しばらく経ってもエラーが再表示されない。直っちゃったみたいです。おそらくですが、トラップ部分に溜まってた水が凍ってドレンホースに水がどんどん溜まってしまい、最終的に貯湯ユニット内部に水が漏れたのかもしれないですね。沸き上げもできるし他に問題はなさそう。でもまたトラップあり状態に戻してしまうと凍結時にエラーになってしまうので、ドレンホース先端が一番低くなるよう土台部分に下ろしました。ホースが長いので緩やかにカーブを描く感じになりました。カバーを取り付けて作業終了。
正直ちょっと不安はあったんです。土台部分に排出された水が凍ってホース先端を塞いでしまうのではないかと。土台はコンクリートなのでキンキンに冷えてますからね。そして今朝です、1月30日朝。再びエラーが表示されました。「タンクの漏水検知器動作しています」。やっぱりアレかなあと今度は頭部に取り付けるヘッドランプを装備してまだ薄暗い極寒の屋外へ。貯湯ユニットのカバーを外すと、はいビンゴ!しっかりと土台部分と氷でくっついておりました。やっぱりそうなるよなあ、とホースをひっぱり土台から引き剥がしましたが、先端部分の3cmくらいに氷が常駐している状態で、指で温めてもなかなか取り出せません。溜まっていた水はホースと氷の隙間から漏れ出たのでエラー解除ができ、お湯も出る状態になりましたので、ぬるま湯をペットボトルに汲んできてドレンホースを突っ込んで氷を融かしました。
今度はドレンホースが土台部分に直接くっつかないように、低い位置にある他の配管に乗せてトラップもできないように工夫しながら設置。風や振動等でたぶんズレるとは思いますが、寒いし時間もないのでカバーを取り付けて作業終了。後日気温の緩んだ明るいときにでも針金か結束バンドあたりで固定しようかなと。それまでエラーが出ませんように!
「風が吹けば桶屋が儲かる」的な感じなんですかね。遥か遠くの海での出来事が巡り巡って我が家の給湯器にエラーを表示させてしまう。まるでピタゴラ装置のような連鎖反応、いやはやなんとも感慨深いものですな。えらく迷惑な話ですが。
ところで「エルニーニョ」とか「ラニーニャ」とか、なにやら欧風料理っぽいなにかを想像してしまうような響きなんですが、これらはスペイン語でそれぞれ「男の子」「女の子」を意味する言葉だそうです。もともとはペルーとエクアドルの沿岸を南に流れる年ごとの小規模な暖かい海流を指すもので、それがクリスマスの時期だったことから「神の子」という意味を持つ「エルニーニョ」と呼んでいたのですが、後に中央太平洋と東太平洋の熱帯域における海面の温暖化や平均を上回る海面水温、それらを含む好ましくない局面(温暖局面)を指すようになりました。対する寒冷局面は当初「アンチエルニーニョ」と呼ばれていましたが、「神の子」にアンチをつけるのは好ましくないと「エルニーニョ」が持つ別の意味「男の子」に対して「女の子」の意味を持つ「ラニーニャ」と呼ばれるようになったということです。
「男の子」と「女の子」なんですね。おかげでさっきから頭の中で郷ひろみの歌がリピートしっぱなしです。ヘイヘイヘイ♪